★新日本プロレス50周年、及び2022年のプロレス業界を牽引するフラッグシップに最も相応しい男は
オカダ・カズチカだ。
人それぞれに様々好みがあり、思い入れを抱く角度は十人十色だとしても
評価基準さえ定義の難しいプロレスではあるが、オカダ・カズチカこそが現行最高のスケールを持ったプロレスラーである事に、異議を唱える者はいないだろう。
いたら、ちょっと阿呆やも知れん、とさえ思う。
2年ぶりの東京ドーム実観戦となった1.4。
時代を彩った数多の名選手達を想起させる“古(いにしえ)の型”をニューガウンに宿したオカダ・カズチカを実際に観たその瞬間、筆者は東京ドーム2連戦におけるレインメーカーの大勝利と、1.8メインイベントの蹂躪
ひいては今年度の業界を牽引する要たる存在である事を確信した。
これ程の絶大なるスケール感を人に覚えたは、やはりオカダ・カズチカがMSGのメインイベントを務めIWGP王座を奪還した、3年前以来のものであった。
当時でさえ、プロレスラー世界スタンダードが我等がレインメーカーである事は余りに明白であったが、今年のオカダ・カズチカは世界的評価に加え、我が国のプロレス・ヒストリーまで内包化しようとしている。
少なくとも日本国内の何処に、スタジアムクラスのメインイベントを3連続で務め上げ、しかもその3試合全てに勝利し、素晴らしい試合を伴って興行を文句なく締め括れる男がいるというのか?
業界の旗手を託すに、これ以上の適任者は日本に存在しない。
これは筆者の主観ではなく事実だ。
筆者にとっても、オカダ・カズチカという男は思い入れや物の好みなどを超越している。
正直な話、個人的にオカダ・カズチカ以上に思い入れのある選手、オカダ・カズチカ以上に心惹かれる選手、オカダ・カズチカ以上に思い出のある選手は幾人も存在する。
が、しかし、オカダ・カズチカ以上に
【業界の看板そのものを背負える選手が他にいるか?】
と問われたならば、その答えはノーだ。
事実、世界中のプロレスファンは、我々国内ファンより遥かにオカダ・カズチカの真価を理解している。
世界有数のプロレスメディア、レスリング・オブザーバーにおける〘☆4以上の評価を得た試合合計数〙…
所謂、四ツ星以上の総合試合評価にて、何とオカダ・カズチカは現役ながら日本プロレスラー史上歴代最高の得点数を誇っているのである。
※因みに現役2位は石井智宏であり、歴代では4位(!)。
歴代2位と3位は、小橋建太と三沢光晴だ。
勿論、プロレスというカルチャーが対外的評価で真価を測れないジャンルである事は百も承知している。
だが、レインメーカーという存在が世界の有識者及びファン達から、世界標準として認識されている事は紛れもない現実なのである。
現代は過去と異なり、一人二人の絶対的スターのみで興行を成り立たす時代ではない。
アントニオ猪木やタイガーマスクの様な、100人中99人のファンがそれのみを目当てに会場へ殺到する時代ではないのだ。
オカダ・カズチカが生きる2020年代と、アントニオ猪木やタイガーマスクが光り輝いていた1970年代∼80年代とは、根本的に世間の判断材料量が違い過ぎる。
今、我々は現地に出向かずとも、レンタルビデオ屋に通い詰めなくとも、スマホ一つさえあれば全世界のプロレスを視聴する事が可能だ。
新日本もWWEもAEWも、手元のスマホで自由気儘に流し見しては画一的に判断し、自らの趣向を探し当てはめる事が許されている。
要するに、複数スター時代の代表の一人であるオカダ・カズチカと、その時代のジャンルで唯一無二の存在であったアントニオ猪木達を同一線上で評価する事自体に無理がある訳だ。
しかし筆者が強く言いたいのは、10年後辺り
【最盛期のオカダ・カズチカの時代】
を実体験した!と自慢出来る権利を、現代の我々は獲得している、という事である。
筆者はアントニオ猪木、タイガーマスク、前田日明の最盛期をリアルタイムで体験する事は世代的に叶わなかった。
二度と戻らないスーパースターのまたとない栄光の時代は、それを体感し得なかった世代にとって憧憬の彼方にあるものだ。
今、オカダ・カズチカに批判的な連中も、今のうちに好き放題言っておけと言いたい。
それさえも、稀代のスーパースターをリアルタイム体感した追憶の記憶として、いつの日かかけがえのない財産となるからである。
正に“時は金なり”だ。
世界最高の選手の、その最盛期を肉眼で観る事の出来る幸運を味わうと共に
新日本プロレスの歴史をも型に宿す器を持った、そんな業界最大レスラーの2022年に、長年のプロレスファンとして大いに胸踊らせてみたい。
我々は
【新日本プロレス50周年のレインメーカー】
を目撃出来る、何とも運の良い時代に生きているのだ。
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