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★ルックス、スタイル、スター性(所謂、華)は後天的な努力で磨く事は出来ても、持って生まれた先天的要素がより大きいと筆者は考えている。


かつて、かの戦闘民族の王子が

「努力では超えられない壁を見せてやろう」

と名台詞を残した事があったが、それ程に先天的才能をふんだんに有した者に対しては、努力、鍛錬、工夫といった後天性ではどうにもならない現実がある、という側面は否定出来ない部分がある。

(※しかし、かの戦闘民族の王子も、後に努力の鬼となったのだが)


“持って生まれた華”という特殊能力は、我々凡人にへ及びもつかないが故に我々凡人を魅了し、時として嫉妬させる。











思春期の筆者は、ルックスもスタイルも醜くパッとせず、運動神経は平均値、学力は最下層、そのくせ癇癪持ちで、何の才能も持たないクセに理想だけは宇宙規模に高い、という信じられないクソガキだった。


常に理想と現実の狭間で、と言うよりは己のクソ情けなさ加減に疲弊しきっていた筆者を救ってくれたのが、パンクロックを始めとするロックンロールであった事は何度となく述べてきた。

天性の華と才覚など持たなくとも、恵まれない状況下と言えど、アイディアや仲間との結束、ダイヤモンドレベルの強固な意志とマグマなる情熱がミックス出来たならば、生来の華形とも時に渡り合えるという事を、筆者はロックンロールを通し学んだ。



劣等感をダイナモとする美学、それこそが筆者の愛してきたロックンロールのフィロソフィーなのだ。













1.8 横浜アリーナにて観衆の最大衆目を集めたのは誰か?


オカダ・カズチカか?清宮海斗か?

LIJか?金剛か?


確かに彼等はそれに値する。

持って生まれた華を、不断の努力によって更に磨き上げた彼等は間違いなくそれに値する。








だが、そんな並み居る華形スター達に勝るとも劣らないインパクトを残した男がいた。


恐らく、プロレスリング・ノアに対しやや手厳しい新日本ファン達に対してさえ


「オイ…アイツは誰だ!?」


と鮮烈な印象を、ものの数分で残した男がいたのである。







多くのプロレスファンにとって決して馴染み深い存在とは言い難かった、方舟のYOSHIKI。


元旦、KENTAという業界随一のクセモノにアタックしまくる事で一躍名を上げた稲村愛輝にとって、去る1.1と1.8は彼のキャリアにおいて、大小なりともターニングポイントとして記憶される出来事になり得るやも知れん。


プロレスリング・ノアの将来の一翼を担う可能性を秘めた方舟のYOSHIKIの眼に、新日本プロレスが世界に誇るジャパニーズ・ベストバウトマシンという漢がどの様に映ったかは、容易に察しが付く。 



若さや体格、華といった明確な有利記号を持たずに、業界最大手団体におけるメインイベンターの一角として活躍する石井智宏は、戦う相手に【格】を求めない。

相手がジェイ・ホワイトであろうがEVILであろうが、柴田勝頼であろうが鈴木みのるであろうが、ヤングライオンであろうが他団体の若手であろうが関係ない。

強そうな相手が目前にいるならば、格上だろうが格下だろうが戦わずにはいられない。



そんな“戦闘民族の末裔”として、圧倒的練習量と研ぎ澄まされたセンスが可能とする数多のベストバウトで、歴戦の華形スター達と渡り合ってきたジャパニーズ・ベストバウトマシンの存在は、若き稲村愛輝にとって目指すべきベンチマークと映ったのではあるまいか。



先天的な華を持った清宮海斗とは、稲村愛輝に求められる役割も成すべき事柄も違うのだ。



では、天性の華を持たない人間は所詮、華形スター達の引き立て役にしかなれないのか?





稲村愛輝はその奇跡の可能性を、1.8における石井智宏との衝突で感じ取れたのではないか。

先天的スター性を持たずして、驚愕の成り上がりを誰より体現してきた石井智宏に、近未来の己の理想形を見たのではないか。








これまた戦闘民族発の、有名な名台詞がある



『落ちこぼれだって必死に努力すりゃ、エリートを超える事があるかもよ』









近頃様々思う所あり、プロレスリング・ノアを注視していない筆者ではあるが、プロレスファンとして追うべき選手が現れたと実感している。

筆者は是非、並み居る華形やエリート達と並び立つ稲村愛輝の未来が見たくなったのである。




こうゆう選手が成り上がってこそのプロレスだ


こうゆう選手が生かされないプロレスがなんぼのもんだ



そういった生来の捻くれ根性が、40手前にして未だ筆者の中に内蔵されているのだろう。




対抗戦継続には興味の薄い筆者だが、この対決は別口である。

稲村愛輝よ、石井智宏と衝突せよ!!









追伸…因みに“方舟のYOSHIKI”とは、筆者が子供達に稲村愛輝を紹介した際に安直に編み出した造語である故悪しからず。





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