★表題の通り、筆者の超個人的見解による今年度MVPを勝手気儘に記載してゆく。

何のベルトを何回戴冠したとか、そういった対外的評価基準とは全く異なる、あくまで〘筆者の心を打った〙選手達を7人、選出し祝辞を身勝手に連ねてゆく。

黙読の程宜しく御願い申し上げる。
















☆筆者選定　2021年度最優秀選手　7選☆











【2021年　年間最優秀選手】




棚橋弘至＆石井智宏（新日本プロレス）





★コロナ禍による主要外国人の人員不足、ぼくらのHoTによる嵐の賛否両論、呪われたIWGPと謳われたタイトルマッチ戦線、主要花形選手達の幾度も重なる離脱

そして隠し様のなくなった観客動員の大幅な減少。

考えられるあらゆるネガティブ・スパイラルに見舞われた今年度の新日本プロレス。

プロレスとは世相の写しだ、とはよく言ったものだが、世間の閉塞感がそのままセルリアン・ブルーのリングを暗澹に染めた様であった。


そんな薄暗い不安と不平不満が蔓延る時代、棚橋弘至と石井智宏は、文字通り“暗黒のヒーロー”として、年始から年末までのコロナ禍を大車輪の大活躍で駆け抜けたのだ。

確かに二人は今年度、IWGP USやNEVER無差別、NEVER6といった王座戴冠を果たした実績がある。

しかし今年度最優秀選手に選出した真意はそこに無い。


2021年における棚橋弘至＆石井智宏の最大の功績は

【ピンチの時に必ず現れてくれた】事に集約される。


動員200人台さえ珍しくなくなった、信じられない客席の閑散を物ともせず

常時高い集中力をキープしては、時にファンの心情をも抉る事さえ厭わない苛烈な発言、何よりも最大の武器である“試合内容”にて、以前では絶対に考えられない価値をタイトルに付与した、石井智宏による

〘NEVERシックス戦線〙


主要選手の相次ぐ欠場最中、ドーム興行のメインさえ固まらない緊急事態さえ逆手に取り、今年度ベストバウトにノミネートされて然るべき凄まじい内容とインパクトを残した、棚橋弘至による

〘IWGPスクランブル発進〙


驚くべき事に、二人はこの偉業を日米2カ国を股に掛ける激烈なスケジュールを織り交ぜ成し遂げてしまったのである。


遠い異国の地のメインイベントで大喝采を浴び（棚橋）、シングルタイトルを制し（二人）、はたまたAEWにまでゲスト参戦しては絶賛を勝ち取り（石井）、日本国内の興行にもほぼフル稼働状態という、正に八面六臂の大活躍。

この事実は、新日本プロレスという団体及び我々ファンが如何に彼等を信頼し、俺達が抱える有形無形のやるせない心情を託す事のできる器の男達であるかを示している。


どれだけ閑古鳥が喚こうとも、どれだけ賛否の暴風が吹き荒もうとも、棚橋弘至と石井智宏が現れればそこは

【新日本プロレス】そのものとなっていた。


プロレス暗黒時代を知り、新黄金時代を闘い続け、今また暗がりのコロナ禍を懸命に生きようと奮戦する二人の生き様は、いつもの様に、またもや我々新日本ファンの絶対的信頼を勝ち取ったのだ。

二人がいる限り、我々は新日本ファンである事のプライドを保つ事が出来た。

これ程の苦難の中でさえ、彼等は日米の新日本戦線を一身に担い続けてきた。



とんでもなく頼り甲斐のある男達である。



彼等以上に対外的実績を成した選手はいるだろう、より話題に上った選手もいるだろう。

しかし、棚橋弘至と石井智宏以上に【ピンチに頼れるヒーロー】はいなかった。

まるでウルトラ兄弟の様に、まるで孫悟空の様に、彼等二人には窮地の戦場に現れる勇姿が良く似合う。




新日本プロレスファンとして、最大限のリスペクトを込めて“今年度最優秀選手”は、棚橋弘至＆石井智宏のダブル受賞とさせて戴きたい。













②ザック・セイバーJr（新日本プロレス）



★実働歴、実績、試合内容、全てにおいて文句無し。

柴田勝頼の対戦相手を務める程の信頼性、その実力者ぶりによって改めて現行No.1外国人レスラーである事を証明したと思う。

近年盛り上がりに欠けていたタッグ戦線の堂々たる王者として君臨したザック、来年は是非ともシングル王座戴冠を期待したい。

このご時世、外国人として日本フル稼働参戦を続けた只唯一の存在であり、団体への貢献度は極めて絶大である。

棚橋＆石井の英雄的大稼働さえ無ければ、筆者は個人的にこのザックを今年度MVPに選定していたに違いない。









③鷹木信悟（新日本プロレス）




★鷹木信悟はある意味不幸な王者だ。

IWGPの呪い真っ只中に王者という大役を任せられ、恐らく本人が望んでいたタイトルマッチは殆ど実施出来なかったと思うからだ。

政府の方針に右往左往する中で度重なる動員制限、新日本の根本的な動員率下落の被害をモロに被ったのは、間違いなくビックマッチのトリを飾らねばならなかった鷹木信悟ではなかったか。

悲惨なまでに人気（ひとけ）無き大会場ばかりの防衛戦…王者として超満員の悦楽を得る事の出来なかった辺り、内心は鬱積した思いがあろうと考える。

そんな状況下、常にベストバウトレベルの試合を連発した素晴らしいIWGPチャンプを、MVPランカーにノミネートしない理由は一つも見当たらない。







④武藤敬司（プロレスリング・ノア）




★未だ方舟感ゼロ、プロレス史に残る永遠の天才。

武藤敬司という〘芸術家〙の作品と存在価値は、これまでプロレスリング・ノアに関心を持たなかった多くの層の目を向けさせたのではないか。

相手も勝敗も時代性も何もかも超越しては、己の作品として発表出来てしまう稀代のアーティスト、その才覚は一向に錆びつかず。

惜しむらくは、何故サイバーフェスにて王座陥落という展開となったのか？だ。

あの時点で武藤敬司以上にベルトの似合う、又は王者として実務面で貢献出来る存在は見当たらなかった筈だが…？

正直に言えば天才王者・武藤敬司をより活かし、更に興行価値を膨大化させて年末年始の大イベントに繋げる展開が理想的だったのでは？

これ程の歴史的存在を短命王者とした方針には些か疑問が残る、そう考えるのは筆者だけではない筈だ。






⑤エル・デスペラード（新日本プロレス）




★日本マット界随一の花形である髙橋ヒロムを差し置いて、今年度最大級の評価を勝ち取ったJrヘビー選手こそが、このエル・デスペラードだろう。

昨年のBOSJファイナル及び今年の旗揚げ記念、2つの日本武道館興行にて堂々たるメインイベンターを勤め上げたエル・デスペラードは、今現在最も新日本ファンの高い支持率を誇るトップレスラーへと躍進してくれた。

特にここ最近、その立ち振る舞いと発言からは、ほとばしるJrヘビーへの情熱とギラついた反骨心が、以前とは比較にならない程に表出されている事を感じさせる。

Jrヘビー両輪の相方である高橋ヒロム以上の説得力を放ち「この男についていこう」と、ファンに思わせる先導者たる魅力をも兼ね備える存在となってきた。

ことJrヘビーに限れば文句無しのMVPが、このならず者ルチャドールだ。







⑥グレート・オーカーン（新日本プロレス）




★ナチュラル・キャラとギミック・キャラが明け透けに混在した、正に新時代のヒール（？）像を確立しつつあるザ・ドミネーター。

その濃過ぎる顔とアキバ的キャラばかりが話題に上りがちだが、今年度のオーカーンはプロレスの試合で以て、現行屈指のオールラウンダーである事を証明した。

ザック・セイバーJr、石井智宏、飯伏幸太、KENTA、矢野通といった並み居る強豪等の持つ世界観に敢えて入り込み、タイプの全く異なる彼等のファイトスタイルに完全対応しては試合毎に存在感を高めていった。

硬軟自在に変幻するオールラウンダーぶりは、如何なる対戦相手を迎えたとしても我々ファンに新鮮な楽しみを与えてくれる。

リング内外双方で強い発信力を持つグレート・オーカーンは、今最も「次は誰と闘うのだろう？」と我々をワクワクさせるエンターテイナー兼プロレスリング・ファイターの一人なのだ。






⑦桜庭和志（QUINTET）




★若き日の筆者に「20数年後、サクは全日本系団体で大活躍するよ」と言った所で、1ミクロたりとも信じてはもらえないに違いない。
　
生粋のU系レスラーであり、当時世界最強クラスのMMAファイターであった桜庭和志が、純プロレス（死語か？）の舞台で大男達に混じり躍動するなど、そんな桜庭和志が観られる信じられない現実にただ喜ぶばかりだ。

『プロレスは仕事なんで』と言ってはばからないサクだが、今や“プロレスラー”として完全開眼。

恐ろしいのは、プロレスリング・ノアの若手達が相次いでNatural 9へと通い詰めている事実である。

そこでは所謂プロレスではなく実践的格闘技のレクチャーが、生ける伝説であるサクにより施されているのであろうか。

だとすれば数年後にノアの若手達が“強さを競い合うプロレス”を復興させてしまう、その種蒔きが今成されているという事か？


多角的視点からしても、歴代屈指の日本人格闘家・桜庭和志が現代のプロレスに大いなる財産を寄与している事は疑いない。

桜庭和志を現代のプロレスのリングで堪能出来る、その喜びを目一杯体感出来た一年であった。



















★上記7選以外に強い印象を筆者に残した選手としては

タイチ（新日本）

中嶋勝彦（ノア）

EVIL（新日本）

葛西純（フリーダムス）

藤田和之（フリー）

ジェイク・リー（全日本）

岡林裕二（大日本）



といった選手達が頭に浮かぶ。

何れも素晴らしい活躍で、筆者の2021年プロレスライフを彩ってくれた男達だ。

来期も今期同様、様々な団体に出来る限り目を向け、興行に足を運ぶつもりである。



混迷した時勢の中、我々プロレスファンに一縷の楽しみ、時には苛立ち（笑）を与えては日々を刺激してくれたプロレスラー達に、一先ずは感謝したい。





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